杉の無垢フローリングという選択

ド田舎で家を建てる

今回は床材についてのお話です。

床材には杉の無垢フローリングを選択しました。

 

生まれ育った実家では、昔ながらの表面にクリア塗装がされたフローリングの家でした。

断熱の度合いなどもあるのでしょうが、夏はひんやりしていて良いのですが冬は非常に冷たく靴下やスリッパなしでは、とてもいられない冷たい床でした。

ですので、新しく家を建てる際には、冬でも暖かい床が良いなと考えていました。

床暖房を選択しなかった理由

暖かい床と言えば床暖房ですが、結果的には使暖房を選択しませんでした。

一番の理由は導入コストです。

床暖房を導入するには設置コストが約100~200万円かかってきます。もともとの予算金額で家を建てるためにもできるだけ初期コストを抑えたかったのが一番の理由です。

そしてもうひとつの理由がメンテナンス性です。

今回、家を建てる基本コンセプトとして50年住める家を建てるという考えでプランを考えました。

その際、床暖房の構造として床板の下に熱源となる仕組みを入れる。最近では温水チューブを入れる構造が主流ですが、50年という目標値を設定した際に、期間中の維持管理ができるのかが疑問であったため取り入れませんでした。

(決して床暖房の寿命が短いと言っている訳ではなく、あくまで個人的な主観です。)

以上の様な理由から、新しい家に床暖房を導入するという選択肢はしませんでした。 

無垢材のフローリングについて

床暖房は選択として難しいと感じたので、他の案はないかと探したところ、「杉の無垢フローリング材」という選択にたどり着きました。

一般的なフローリング材は合板にプリント、クリア塗装されていますが、生の木をそのまま使用したフローリング材料があります。

種類は木の種類分だけあるので多種多様です。スギ、ヒノキ等の針葉樹からオークやウォールナット等の広葉樹など様々な材種があります。

その中でも比較的コストを抑えつつ自分の目的にマッチした杉のフローリングを使用する事にしました。

杉を床材とする事のメリット

杉を選択した一番の理由が熱伝導率が低いことです。

杉は木材のなかでも比較的密度が低く空気を多く含んでいます。

木の育成上、幹の中に水を吸い上げるストローのような管が集まって木が組成されています。その中でも杉はその管の空間が比較的多い為、木の密度が低くなっています。

空気を多く含んでいるという事は、断熱性能が良いという事です。

発泡スチロールを想像していただければ分かりやすいかと思いますが、発泡スチロールも白い粒々の中に沢山の空気を含ませる事で断熱性能を確保しています。

断熱性能が良い=熱伝導率が低いになりますので、熱伝導率が低い材質は人間が触ると温かく感じます

床として使う場合、表面の熱伝導率によって温度の感じ方が変わってきますので、主材が木材であったとしても、表面が樹脂塗装などされていたら、その材質の感じ方になってしまうので、木材本来の触感を味わいたいのであれば加工されていない無垢のままの材料である必要があります。(含浸系の塗料やワックスであれば塗装しても木材そのもの肌触りが維持できます。)

 

もう一つのメリットは木が呼吸するという事です。

木が呼吸すると大げさかもしれませんが、要は湿気を吸ったり吐いたりするという事です。

木は自然のもので、木自身も水を吸って育ってきているので水分を吸ったり吐いたりする機能は備わっています。

木が呼吸すると何が良いのかと言う事ですが、人間が生活していく上では汗をかきます。特に自分が汗をかいていると意識していなくても皮膚の表面からは微量ながらでも水分が放出されており、湿気を吸収しない材料の上を歩いたり触ったりすると、自分が放出した水分が逃げない為にベタついた触り心地になってしまいます。

ですが、木の無垢材ですと湿気を吸収してくれますので、ベタつきがなく不快感がありません。特にお風呂上りなどに裸足で床の上を歩くと顕著に違いが分かります。

 

もう一つはメリットと捉えるかデメリットと捉えるかといった点ですが、柔らかいという点です。

もちろん木材ですし家の構造材でもあるので強度も十分あるので、文字通り柔らかいとう訳ではないのですが、触った感じが柔らかいというか温かみがある感じです。

ですが、やはり柔らかいという文字通り、杉材は柔らかく物をぶつけたり落としたりするとすぐ凹んでしまいます。

杉を床材とする事のデメリット

デメリットについては上でも書きましたが、とにかく凹みやすく傷つきやすい事です。

長所と短所は相反するので、密度が低いという事は実が詰まっていないので本当に凹みやすいです。

どの位凹みやすいかは言葉で説明しても分かりにくいと思いますので、写真を見て頂ければと思います。

これは住んでからまだ2年の床の状態です。傷が多くつきやすい所を撮っているので分かりやすいと思います。

また、杉の無垢材にベンガラ+油で色づけしているので、なおさら傷が目立つようになっています。

家には3歳と0歳の子供が2人いるので傷なんて気にせず遊びまくるので、傷をつけるなと言うのも無理なお願いですし、綺麗に保つというのは諦めモードです。(子供がメインで遊ぶ場所はジョイントマットを敷いているのでその下は大丈夫ですが・・・)

スマートフォンを落としたり食器を落としても凹むくらいですので、傷つけないようにする事は不可能に等しいです。

ですので、杉の無垢材を床材にする場合には傷ついても気にしない、傷も長年経てば良い風合いになると言う気持ちの人でないと、この材料はオススメできません。

住んでみての感想

住んでみて2年の感想ですが、結論から言うと杉の無垢フローリングにして良かったです。

床の施工は断熱材(スタイロエース65mm)+合板(15mm)+杉フローリング(15mm)という構造ですが、冬場なんかも暖房はエアコンのみで十分です。(和歌山の温暖な地域なので夜間の冷え込みも氷点下になるかどうか位ですが)

杉の肌触りが良く、冬は暖かいし夏は嫌なベトツキもなくさらっとしている為、1年中裸足で生活しています。

傷がついて凹みやすいのがデメリットですが、そういう材料だと理解していれば割と受け入れられました。この辺は人によって感じ方が違うと思いますが、自分にとってはこのデメリットよりもメリットの方が大きいと感じる為、結果的に良かったと感じます。

傷については10年20年と時を刻むにつれて増えていき、やがて良い風合いを出すかもしれませんが、その辺は実際に好みの問題もありますし、経ってみないと分からないという所もあります。

あえて言うのであれば、コストを抑える為に合板(15mm)+杉フローリング(15mm)にしましたが、歩いた時など若干音が響くのが気になるので、30mmの杉フローリング1層にした方が良かったかなとも思っています。

杉の無垢フローリングという選択ですが、万人にはオススメできませんが、キズや凹みは気にならないという方であれば気に入って頂けるかと思いますので、一使用者の感想として参考にしていただければと思います。

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