焼き杉の外壁について

ド田舎で家を建てる

今回は家の外壁について書いていきたいと思います。

家の外壁の役割は、家の側面を主に風雨や日差しを遮る一番表側の素材であることです。

常に風雨や日差しにさらされるため、非常に厳しい環境に置かれる材料でもあり、また、そういった環境下で、長い年月の間、性能を維持していく必要があります。

そういった役割もつ外壁ですが、材質については窯業系サイディングや、ガルバリウム鋼板、木材など多種多様の材料があります。もちろん各種材料には一長一短があり、機能性やコストで選ぶ材質が変わってくると思います。

また、外観の大半の面積を占める外壁は、家の見た目にも大きく影響してきますので、デザイン面でも重要な部分になってきます。

外壁のメンテナンス性について

家を建て、住むとなれば長い機関住むことになります。長い場合だと若い頃に建てて死ぬまでであれば50年は優に過ぎる事になると思います。

その間、風雨や日差しに晒され続けることになりますが、長い間住んでいくには機能を維持していく必要があります。その為には適切なメンテナンスが必要になります。

そこで重要になってくるのが、耐久性やメンテナンス性です。

 

まずは耐久性についてですが、外壁には日差しや雨から家を守る役割があります。

そのなかでも、雨、特に水の浸入を防ぐという大事な役割を担っています。外壁が雨水の浸入を防げなくなると、壁の内部構造に水が入ってしまい内部から腐る原因を作ってしまいます。

その為、外壁の耐久性がどの位あるかというひとつの目安としては、水の浸入を防げるかどうかというのがひとつの目安になってくるかと思います。

外壁材の種類でも耐久性が異なってきますが、材料どうしの隙間を埋めるコーキング材の劣化も水の浸入につながったりするので、外壁の補助材なども耐久性を考える際の要素として入ってきます。

 

もうひとつはメンテナンス性です。

家の間取りや構造にも影響されるのですが、外壁のメンテナンスを実施する場合、総2階建の建物だと必然的に作業用の足場を組む必要が出てきます。

足場がないと安全に作業することはできませんので必須の作業行程になってきますが、この足場の設置・解体費用が結構大きな費用負担となってきます。

もちろん、平屋の場合は足場を組む必要があまりないので、こういった問題はあまり気にしなくても良いのですが、平屋の場合は敷地面積や建築面積の増大に伴うコスト増が大きいので、なかなか現実的ではありません。

自分も敷地面積や予算の加減から平屋の間取りはあきらめましたので、家を建てる条件や建築コストで不利になってきます。

 

メンテナンスをすれば、機能は維持できますが、このメンテナンス作業も1回あたりの費用が結構かかるため、できるだけ長い期間メンテナンスがいらない材料のほうが、初期費用とメンテナンス費用を合わせたトータルコストを抑えられる事が出来ます。

ですので、どうしても家を建てる際は目先の建築コストに目がいきがちですが、メンテナンスの事も考慮して多少費用がかかっても、耐久性のある材料を使用する方が、長い間暮らしていく上でのトータルコストを抑える事が可能だと考えます。

 

 

以上の様に外壁に求められる条件から、自分が選択した外壁材は焼き杉の外壁です。

焼き杉とは

焼き杉とは、字のとおり杉板の表面を焼いて炭化させたものになります。

通常の杉材に加え表面を焼いて炭化層を作ることにより腐りにくくし、より耐久性を上げた材料となっています。

表面だけを焼いたものですので、表面数ミリが炭になっており、強度や性質などは杉材と大きく変わりません。

見た目は表面の炭の色である黒となります。また、板張り仕上げとなる為、外観的には和風テイストな雰囲気になります。

 

昔から瀬戸内地域で使用されてきた歴史もあるようで、耐久性には長年の実績もある材料で、条件が良ければ20年~30年以上持つようです。

 

今回、使用した材料は共栄木材さんの焼杉クロとクロ塗装です。

杉材をしっかりと焼き、しっかりした炭化層のある焼き杉です。

 

耐久性がある焼き杉ですが、流通している商品の中には、焼いている風に塗装した物もあるので注意が必要です。

塗装した物でも普通の杉板なので、性能などそこまで気にする必要はないかもしれませんが、日光による色落ちなどするものが中にはある様ですので注意が必要です。

 

メリット

焼き杉のメリットは上でも書いている通り耐久性がある、という所です。

うまく使えば数十年は大きなメンテナンスの必要がない良い材料です。

ただし、焼き杉を使ったから耐久性があるというわけではなく、適切な設計、施工を行った上で発揮されるという所に注意が必要です。

表面は炭化していますので腐りにくいですが、主な部分は木材ですので、雨に濡れやすい環境ですと、腐ってしまいます。

ですので、外壁に使用する場合は雨に塗れにくいよう、軒を長くし雨にあたりにくいような設計をする方が材料を長く持たせる事ができます。

もうひとつのメリットは、交換の際の施工が容易という事です。

他の材料と比較すると、材料や施工法方がシンプルなので、材料の入手や部分的な補修などがし易く、何十年後かにメンテナンスを行う場合も対応しやすいのも特徴です。

  

デメリット

以上の様に耐久性としてのメリットは非常に大きいですが、性能と引き換えになるデメリットも多数存在します。

○触ったら色がつく

表面の炭化層は字のごとく炭なので、触れば炭が付着します。

基本的に外壁を触る事などないので大きな問題などは無いのですが、ふとした瞬間に触った際に結構色が付きます。といっても炭ですので洗えばすぐ落ちます。

ですが、ベランダなど何かモノを干す場所については注意が必要です。壁に当たるだけで炭が付着してしまいますので、そうなってしまうと洗濯物が台無しです。モノを干す場所などは別の材料を検討した方が良いかと思います。

(自分は物干しエリアは漆喰壁にしました。)

共栄木材さんのクロ塗装は表面に樹脂塗装がされているので触っても炭が付着しない優れものです。また樹脂塗装されていますが、外観的には未塗装品と大きな違いはないので炭が付着するのが気になる方はこちらの商品もオススメかと思います。

 

○色が選べない。

焼き杉は杉材を焼いた材料なので、天然色の炭色しかありませんので、色を選ぶ事ができません。

そのため、外観はどうしても黒色になってしまいますので、他の色にしたい場合には適さない材料です。

 

○炭が剥がれる

焼き杉の炭化層ですが、どうしても表面の炭が剥がれていきます。

特に施工直後は材料自体がまだ雨風の影響に馴染んでおらず、細かい炭化層が剥がれて周辺に飛んで洗濯物や車に着いたりします。

馴染んでしまえば、ほとんど気にならないですが、最初はどうしても多く出てしまう様です。

自分の場合は周辺に住宅も無いので特に問題になりませんでしたが、注意は必要かと思います。

初期の剥がれの他にも、表面に衝撃を与えたり、強くこすったりすると簡単に剥がれてしまいます。

剥がれてしまった炭化層を元に戻す事はできません。(再度焼いて炭にしようとしたら家が火事になってしまいます。)

完全に炭化層が剥がれたり材料が腐ってしまった場合には、新しい材料に張り替える必要があります。

 

○防火材ではない

表面が焼けてしまっている焼杉ですが、中身は普通の杉材ですので木材と同様の扱いになりますので注意が必要です。

 

まとめ

施工の手間や、デメリットも多数ある焼杉ですが、それに変わる長い耐久性が大きな魅力の材料です。

特に家を建築する際の初期費用を確保するのは割と容易にできるかと思いますが、家のローンを支払いながらメンテナンス費用を捻出するのは難しいと思います。

ですので、初期費用は少しかさむけれども、長い目で見た際のトータルコストでは抑えられると考え、自分は焼杉を外壁にすると決めました。

ハウスメーカーではなかなかオススメされる事もない材料かと思いますが、他とは違った外観で飽きのこない焼杉の外壁が気に入っています。

本当の耐久性については実際に住んで年数が経っていかないと分かりませんが、炭の剥がれ方にも風合いが出てくることかと思いますので、そういったのも楽しみにしながら住んでいきたいと思います。

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