今回はステアリングコントローラーについてのお話です。
今までステアリングコントローラー(ハンコン)はスラストマスターのT-GTを使用してきました。
T-GTも決して悪いハンコンではないのですが、ベルト駆動ですのでどうしてもベルト撓みによるFFBの伝達ロスがあります。
また周りから聞こえてくるダイレクトドライブ(DD)は良いぞ、という評判も気になるのでゆくゆくはDDが欲しいと思っていましたが、コストが高いので導入する事を躊躇っていました。
ですが、速さや楽しさにつながるのであればと思い導入する事を決意しました。(といっても家族持ちのサラリーマンですので予算はできる限り抑えたいというのが本音でもあります。)
ダイレクトドライブ購入
そんな気持ちの中、購入したハンコンはSim-plicityという商品です。
sim-plicityはイギリスのステアリングコントローラーメーカーです。
Simucube1などと同様の方式のOSW(Open Sim Wheel)のステアリングコントローラーです。
OSWについては2022年現在ではマニアックな存在になってきていますので、よっぽどの理由がなければFANATECやSIMUCUBE2などのメジャーなダイレクトドライブハンコンを購入する事をオススメします。
購入しようとしたきっかけはやはり値段。産業用サーボモーターを使用したOSWですので比較的安く購入することができます。
そんなsim-plicityを購入しようと決意したところ、偶然にもレースシムショップのKMRさんで使われていたSW25(25Nmモデル)を処分予定なのでいかがですかとお声がけいただいたので、ありがたく購入させていただきました。
届いたものを確認してみると、ステアリングベースになるサーボモーター(MiGE 130ST-M10015)とモーターマウント、コントロールユニットと非常停止スイッチのセットになっています。
今時の一体型タイプではないので設置にスペースが必要ですが3画面でコックピット作ってると余分な空きスペースがあるのでそこまで気にする必要はなさそうです。
ステアリングホイールについて
ステアリングベースを確保できたので、あとはステアリングをどうするかです。
買って済ますにはFANATECのステアリングにUSBコンバーターを使用したり他の市販品ステアリングコントローラー(CUBE CONTROLESなど)をつけるのがお手軽です。
ただ、F1をメインに走っているとボタン数が足りないのも事実です。(実車+シムで必要な操作ボタン)
そんな事も思ったり、最近設計とかしてないのでしてみたくなったりと(機械系出身なので)自分オリジナルのステアリングを作ってみようと思いました。
過去にもステアリングを改造したことがあったのですが、出来がいまいちだったので再度挑戦してみたかったというのもあります。
と、ステアリングを自作すると決め、作った後にこの記事を書いていますが、大事な結論を先に言っておきます。
買った方が安い。
ステアリングを作るというのは労力や時間が相当かかりましたし、トータルコストも決して安くはありませんでした。
しかも動作の保証もないので、動作保証されている市販品を買うのが得策だと思います。市販品でも数万円しますが、やはりそれなりの理由があるのです。
設計イメージを作る
まずは完成形をイメージする必要があります。
自分の理想形はF1のステアリングでした。
ステアリングにいっぱいボタンがあるのは憧れますし、レース中でもなるべく手を放さずに操作できるステアリングが希望でした。
今回はダイヤル式のロータリーエンコーダーも多く使いたいなと思います。
まずはイメージを作るためにスケッチしてみます。(下手な絵ですいませんw)
(スケッチのボタンは最終的に外したものもあります。)
最初はディスプレイのないウィリアムズっぽいデザインで良いかなと思い書き始めました。
まずは必要なボタン数を洗い出す必要があります。F1をメインに考えていますが、レースシムで使うのでマルチに対応できる内容にしたいと思います。
ステアリングとは別に追加のボタンボックスも作ろうかと思っていますので、使用頻度の少ないボタンについては、そちらに割り振ろうと思います。ですので、なるべくステアリングから手を放さずに操作したいボタンを選択していきます。
ボタン数の洗い出し
次に必要な入力点数を洗い出してスイッチの基板選びをする必要があります。
実車と同様に必要なもの、シム独自に必要なもので、できるだけステアリング上で操作出来たら便利なものを挙げてみました。
・ボタン
1.ピット速度リミッター 2.パッシング(WEC等) 3.DRS(F1) 4.Push to Pass(P2P)(インディ等) 5.ラジオ(シムではVC) 6.捨てバイザー(tear off)(iracing) 7.8.9.10.十字キー(上下左右)(シム) 11.決定ボタン(シム) 12.PITリクエスト(rfactor2) 13.14.LCD+-(メニュー画面変更)(シム)
・ロータリーエンコーダー(1種類で+と-の2入力必要)
15.16.ブレーキバランス+- 17.18.ブレーキバランス+-(fine)(F1) 19.20.デフ(Entry)(F1) 21.22.デフ(Mid)(F1) 23.24.デフ(HI Speed)(F1) 25.26.エンジンモード(ミクスチャーやブースト、F1やLMP1はSOC) 27.28.ABS(GTカー) 29.30.TCS(GTカー) 31.32.フロントARB(インディ) 33.34リアARB(インディ)
・アナログ入力(可変抵抗)
1.2.クラッチパドル
という感じでざっとデジタル34入力、アナログ2入力が必要という結果でした。
PCとの接続に関しては、無線化する方がすっきりして良いのですが、そこまで技術力がないのと、有線でも問題ない為、今回は有線接続で作ることにしました。
基板選び
以上の条件で基板を探したところ、たどり着いたのがこの商品。
Leo Bodnar BU0836A 12-Bit Joystick Controllerです。
Inputs
8 analog inputs with 12-bit (4096 steps) resolution each |
32 button / 16 rotary encoder inputs |
8-way “point-of-view” hat switch input |
この1枚の基板でアナログ8入力、デジタル36(32+ハットスイッチ)入力が可能です。
この基板にした理由は入力の多さもあるのですが、もう一つが大きさです。ステアリングという限られたスペースに組み込む必要があるので、基板はなるべく小さいものの方が良い為これにしました。
とはいってもこの小さい基板にどうやってデジタル36入力もできるのか疑問に思います。
アナログに関しては左側にグランド(GND)、インプット(INPUTS)、電源(+5V)の3つが1セットで8列並んでるのでわかりやすいですが、右側のデジタルの方はCOLUMNSが1~6、ROWSが1~6と12本あるだけでどうやって配線していいのか分かりません。
配線図の方を見ると、こういう配線をすると36入力できるそうです。縦と横の位置の配線でどこのスイッチが押されているのか分かるようで、この配線の仕方をマトリックス配線というそうです。
この配線をするのは大変送付だなーと思っていたら、こんな便利パーツも出されていました。
BU0836A Break out Matrix board
BU0836Aのマトリックス配線を1枚の基板で達成してくれるボードです。これなら複雑な配線もせずにボタン入力配線をするだけで大丈夫ですし、仕上がりもコンパクトなのでこれを使用することにしました。
BU0836Aのボードの上に重ねて2階建てのように組んで使用します。
アナログの端子部分は切掛れているので、そのまま差す事ができます。
という訳で、メインの基板はこれで決定です。
あとは折角イギリスから購入するので気になるものも追加で発注しておきます。
LB 8 Way Hat Switch / Thumb Stick / Tact Switch / POV
縦、横方向に入力できるHATスイッチです。いわゆる十字キーです。
12.99ポンド(約2000円)と少し高めですが、追加で購入するのも送料がかかってしまいもったいないのでどんなものか確認の為に購入してみました。
HPでオーダーしてpaypalで決済。63.89GBP(ポンド)で当時のレート(2021.11)で10,466円でした。(単品価格も現在は少し変わってるみたいです。)
ロータリーエンコーダーもどんなものか見たかったので1つ購入してみましたが、結局このロータリーエンコーダーは使いませんでした。
注文から約1週間、エアメールで到着しました。エアメールだと割と早いですし、Royal Mailのトラッキングシステムで荷物が今どこにあるのかも確認できるので割と安心でした。
梱包はこんな感じです。イギリスのメーカーさんですのでしっかり梱包されています。
部品構成はこんな感じ。コネクターは要はんだ付けです。
2段重ねにするとこんな感じです。入力点数の割にはコンパクトだと思うのでステアリングに内蔵するにはちょうどいいかと思います。
という訳で、今回は基板選びまで書いてみました。先は長いので分けて記事にしていきたいと思います。